ディック・フランシス『興奮』

 競馬シリーズ、らしいが競馬を知らなくても無問題。

興奮 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12-1))

興奮 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12-1))

あらすじ

 障害レースでの大穴続き。馬は明らかに興奮剤を与えられているように見えたが、検査をしても証拠がでない。どんなからくりが働いているのか? ダニエル・ロークは障害レースの理事に依頼され、調査を開始する。

感想

 興奮剤を与えられているはずなのに痕跡がない、という不可能犯罪っぽい魅力的な謎と、シンプルながら意外性のある解決も確かによくできていて、ミステリとして十分面白い。
 しかし、この作品の最大の魅力は物語の大半を占める主人公のハードボイルド的な悪戦苦闘だろう。主人公のロークはまさにヒーロー、度重なる苦難に自らのプライドで耐える姿が格好いい。が、こういうのが嫌いな人はちょっとアレかもしれない。
 ラスト、ヒロインとの関係が曖昧だったのが少し不満ではあるが、余裕で★★★★★