ヴァン・ダイン『カブト虫殺人事件』

 エジプトらしいです。

カブト虫殺人事件 (創元推理文庫 103-5)

カブト虫殺人事件 (創元推理文庫 103-5)

 ヴァン・ダインの第五作。エジプト博物館の中での殺人ということで、ファイロ・ヴァンスの饒舌が冴える。「第何期王朝の何とか」という表現がやたら出たりする。これがヴァン・ダインの魅力といえばそうなのだが、この辺は適度に流してしまった(不真面目な読者だ)。
 途中の展開が非常に面白い。姿の見えない殺人者とヴァンスが互いにけん制しながら闘争を繰り広げるのだが、緊張感があってとてもよい。ただ、最後に明かされる真相は面白いのだが、容疑者が限定されすぎているせいもあって、割と簡単に読めてしまった。
 というわけで結局★★★☆☆