高木彬光『死神の座』

 当然のように表紙が出ない。

死神の座 (角川文庫 緑 338-8)

死神の座 (角川文庫 緑 338-8)

 おなじみ神津恭介もの。
 占星術のさそり座と共に出てきた硫酸で顔を焼かれた死体。これを皮切りに、次々と顔を潰された死体が出てくる、いわゆる「首のない死体」の変形作品である。
 と思ったら途中から暗号解読が出てきたり、あの昔話の一節ような話が出てきたりする。中心となる人々がもの凄い大富豪だというのもあってか、なんとなく展開が浮世離れしている感じだった。
 ミステリとしては、被害者達がそれぞれ不自然な行動をする理由の謎解きが面白い。が、肝心の殺人の動機など、いまいち納得がいかないところが残ってしまったのが残念だ。★★★☆☆