ジョン・ディクスン・カー『死者のノック』

 カー・コンプリート計画順調に進行中

死者のノック (ハヤカワ・ミステリ文庫 5-11)

死者のノック (ハヤカワ・ミステリ文庫 5-11)

 フェル博士もの最後から五番目の作品。一応密室の謎が出てくるものの、やはりメインとなるのは登場人物同士のやりとりである。ここら辺は他の後期作品とあまり変わらない。
 その人間関係を利用したプロットの捻りは相変わらずの冴えだが、密室の謎解きがどうにも分かりにくい。翻訳が悪いのか? あと、肝心の事件がイマイチ盛り上がりに欠けるのもマイナス。むしろ主人公マークとブレンダの夫婦喧嘩の方が主題になってないか?
 なんだかちょっとズレた感じの作品。★★★☆☆