麻耶雄嵩『螢』
冠が火二つの方の「ほたる」が自分のパソコンだと出ないよう。
(5月31日追記、『螢』が出た! 川神さんありがとう!)
- 作者: 麻耶雄嵩
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/01
- メディア: 新書
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しかし色々と書きたいことがある。
ファイアフライ館で殺人を皮切りに色々な事件が起こるが、怪しげな人影が出たりするのを除けば物語は割と淡々と進むので、ちょっと盛り上がりに欠けるという印象。
しかしその分を補って余りあるほどミステリとしてのレベルは高い。
まず終盤のロジカルな謎解きが凄い。プロットのほぐし方、犯人特定に至る論理の確かさは見事。そして今までまったく存在しなかったであろう意表を突くトリックが光る。確かに「おかしいな」と思うシーンがいくつかあったのだが、まさかそういうふうに来るとは思わなかった。
ただ、非常に残念なことに、このトリックの明かし方があまり効果のあるやり方ではなかったように思う。一瞬、おまけで付けました、という感じを受けてしまった。もっと劇的な見せ方をすれば迷わず大傑作、と言えたのに。惜しい、凄く惜しい。