リチャード・ハル『伯母殺人事件』

伯母殺人事件 (創元推理文庫 125-1)

伯母殺人事件 (創元推理文庫 125-1)

 「三大倒叙」最後の一つだ。
 決して面白くないわけではないのだ。がしかし、どうもいまいち乗れなかった。
 その最大の原因はおそらく主人公の手記における描写だと思う。主人公は自分の住んでいる田舎や伯母を嫌悪しているという設定なのだが、そのために手記の中では、舞台となる田舎の様子や人々について悪意を持って書かれている。そのせいかなかなか楽しんで読むというわけにはいかなかった。
 あとこれは作品のせいではないのだが訳が硬すぎる。というかこれはもう硬いとかいう域を超えている。「最後的に」とか「頭脳を使って」とかもう少しなんとかならなかったのか。
 肝心の主人公が計画する犯罪の数々や、後半の展開は意外性があっていいし、ラストの一言などはいい味を出してると思う。がやっぱり★★★☆☆


 ところで「倒叙」ってそのまま打っても変換されないのだが、これは何かの略なんだろうか?
 「倒置叙述」の略かな?