山口雅也『生ける屍の死』
分厚さに引いて、今までこの大傑作を読み逃してきたことを後悔。
- 作者: 山口雅也
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1996/02/25
- メディア: 文庫
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死者が次々と甦る世界で次々と殺人が起こる、というとんでもない設定でがっちりとした本格を見せた傑作。
何より良かったのは「死者の甦り」という設定を生かした(?)爆笑もののシーンがあちこちに散りばめられていたこと。普通に考えると、死体が起き上がって動いて喋りだすなんて恐怖以外の何物でもないのに、これがもの凄く笑える。生きている登場人物達もどこか抜けている人間が多く、楽しく読むことができた。
また、舞台が葬儀屋一族の家ということもあってアメリカの葬儀の習慣や生死観などの薀蓄が披露されるが、まったくいやみがなく、非常に面白い。そしてなによりもこの設定を最大限に生かした解決の論理と真相は強烈の一言。何度でも言おう。これは傑作だ!★★★★★