フレドリック・ブラウン『まっ白な嘘』
- 作者: フレドリック・ブラウン,中村保男
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1962/05/25
- メディア: 文庫
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作品数が多いので、感想は一部だけ。
「笑う肉屋」足跡なき殺人のトリックはありきたりだが、その動機がぶっとんでいる。
「メリー・ゴー・ラウンド」事件の真相もよくできているが、なにより主人公の行動が引き起こすオチが見事だ。
「叫べ、沈黙よ」発端の面白さ、異様な展開、寒気を起こさせるラスト。わずか10ページ足らずだが、強烈な印象を残す傑作。
「アリスティッドの鼻」名探偵の推理もなかなかだが、強引極まりないオチには笑うしかない。
「後ろで声が」オチにもっていくための伏線が非常によくできていると思った。
「闇の女」オチが捻ってある。しかしただ捻っただけではなく全体の構成がよくできているので、解決が本格もののような説得力をもつ。
「自分の声」平凡な展開が最後の最後に一変する。ラストに残る余韻が異常。
「まっ白な嘘」表題作だが、ややありがちな捻りか。駄洒落も英語なので日本人には少し分かりにくい。
「カイン」死刑執行前日の死刑囚の恐怖がリアル。しかしオチはそれ以上に怖い。強烈。
「ライリーの死」これは凄い落ち方をする作品。どう書いてもネタバレになりそうだが、大好きである。
「うしろを見るな」ちりばめられた伏線が恐るべき方向に収束していく。これは面白い。
全作品オチに賭けた情熱に感服。★★★★★