「エレヴェーター殺人事件」ジョン・ロード&ディクスン・カー(ポケミス)

 エレベーターの中での密室殺人という魅力的な謎の設定。この謎に対してグラス医師とホーンビーム主席警部の二人がお互いに推理を出し合ったり潰しあったりするのがカーの作品としては珍しいが面白い(合作だからか?)。特にグラスはいくつもの意外性のある推理を披露して、中には「これが真相でいいじゃん。面白いよ!」と言いたくなるものもあった。
 ところが、肝心の真相のトリックの方がどうもパンチ力に欠ける。これで真相が面白かったら紛れもない傑作だったと思うのだが……。非常に残念である。★★★☆☆