F・W・クロフツ『クロイドン発12時30分』(創元推理文庫)

クロイドン発12時30分 (創元推理文庫 (106-11))

クロイドン発12時30分 (創元推理文庫 (106-11))

 「世界三大倒叙」の一つだが、残念ながら言われるほど面白いとは思えなかった。
 倒叙のポイントの一つには、殺人者が犯行に至るまでの過程の面白さがあると思うのだが、それがちょっと盛り上がらない。アイルズの『殺意』あたりと比べるとどうしても見劣りしてしまう(それだけ『殺意』がよくできている、ということかもしれないが)。犯行が暴かれる過程についても、フレンチが最後に次々と証拠を出して終わり、という感じでどうにも物足りない感じがする。少し期待外れだった。★★★☆☆
殺意 (創元推理文庫 (124‐1))

殺意 (創元推理文庫 (124‐1))