京極夏彦『魍魎の匣』(講談社文庫)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

 箱を祀る霊能者、箱詰めにされたバラバラ死体、箱型の建物からの少女消失と、箱絡みの事件がいくつも起こる。
 立て続けに事件が起きたので完全に翻弄されてしまったが、実は個々の事件については真相をつかむのはそれほど難しくなかったのかもしれない。しかしこの作品の最も面白いところは、それぞれの事件がどのように繋がっているのか、というホワットダニット的な所だろう。冒頭の妖しげな夢のような情景の解釈と合わさった。ホワットダニットの謎解きが非常に衝撃的だった。★★★★★
 どうでもいい話だが、僕の中では憑物を落とす京極堂よりも呪いをかける京極堂の方がなぜか印象に残っている。