法月綸太郎『密閉教室』(講談社文庫)

密閉教室 (講談社文庫)

密閉教室 (講談社文庫)

 実はこれが初めての法月綸太郎。この作品は高校が舞台になっているが、個人的にはそれがあまり上手くいっていないような気がした。というのも発端から突然異常な展開が続くので、逆にあまり異常な感じがしないのだ。また登場人物たちのキャラが立ち過ぎなのも気になってしまった。なんか高校生らしくないというか。
 ミステリとしての目張り密室と消えた机と椅子の謎は魅力的。いくつも示される目張り密室の解決の中には「上手いなあ」と思うものもあったが、真相は上手く一ひねりされていて面白かった。全体的にはよくできていると思う。ただ、ラストのどんでん返しから生まれる痛々しさは個人的にあまり好きになれないのだけれど……★★★★☆