泡坂妻夫『奇術探偵曾我佳城全集<戯の巻>』(講談社文庫)

奇術探偵 曾我佳城全集 戯の巻 (講談社文庫)

奇術探偵 曾我佳城全集 戯の巻 (講談社文庫)

短編集。個人的ベストは「シンブルの味」
「ミダス王の奇跡」プロローグとエピローグの情感あふれる文章がいい。この足跡トリックも個人的には好き。
「天井のとらんぷ」天井にとらんぷを貼り付ける技術が面白い。ダイイングメッセージは少し専門的すぎる気もするが。
「石になった人形」冒頭の演技の中に見事な伏線が張ってある。ラストがなんとも壮絶。
「白いハンカチーフ」テレビのワイドショーでの一幕だが、読み落としそうな細かな伏線をたくさん張っているのが凄い。ラストには思わず笑ってしまった。
「浮気な鍵」尚子と中屋のやりとりが笑える。トリックや伏線の出来はまあまあか。
「シンブルの味」トリック自体は普通の出来だが、それを解明するための伏線の張り方が非常に上手い。
「とらんぷの歌」トランプの並びを覚える歌は面白いが、それよりも佳城の発想の凄さに脱帽。
「だるまさんがころした」なんとなくぼんやりとした印象。ホワイに対する解答は一応与えられるものの、ちょっと不満が残った。
「百魔術」奇術のトリックと殺人の絡め方が良い。伏線からの犯人の絞り方は相変わらず上手い。
「おしゃべり鏡」ちょっとした不思議からするすると真相を引き出していくのが非常に面白い。これぞマジックといった感じ。
「魔術城落成」これの感想は書けないなあ……。
<秘の巻>とは佳城の性格が違う気がするが……レベルが高いことに変わりはない。★★★★★