ヘレン・マクロイ『家蝿とカナリア』(創元推理文庫)

家蝿とカナリア (創元推理文庫)

家蝿とカナリア (創元推理文庫)

 舞台劇の最中に瀕死の人間の役をやっていた男が殺される、という設定がなかなか面白い。容疑者の数が少なく謎としてはシンプルで、あとは延々と捜査が続く。退屈になりそうなところだが、登場人物たちの会話が楽しめるため、読むのはそれほど苦にはならなかった。解決での伏線の回収の仕方も良いと思う。ただ、悪いところはないのだがどうもパンチに欠ける気がする。可もなく不可もなく、といった感じ。★★★☆☆