ジル・マゴーン『騙し絵の檻』(創元推理文庫)

騙し絵の檻 (創元推理文庫)

騙し絵の檻 (創元推理文庫)

 無実の罪で16年間も刑務所に入れられ、復讐の鬼と化して真相を追い求める主人公、ビル・ホルト。彼が事件を追う描写が素晴らしく、その姿には怖ささえ感じられるほど。
 ミステリとしての出来も素晴らしい。調査の過程で次々に明らかになる事実、二転三転する容疑もサスペンスを盛り上げ、全く飽きさせない。そして最後、ホルトが関係者全員を集める解決シーンは圧巻。次々示される仮説、意外なアクロバット、そして仕上げと完璧な出来栄え。ミステリとしての構造はシンプルだが、傑作。★★★★★