西澤保彦『念力密室！』（講談社文庫）

念力密室!―神麻嗣子の超能力事件簿 (講談社文庫)

　短編集。個人的ベストは「乳児の告発」
「念力密室！」神麻さんのドジっ子ぶりが微笑ましい（笑）。ミステリとしては、プロットが明かされる過程はちょっと雑だが、ホワイダニットから導かれる論理は素晴らしい。
「死体はベランダに遭難する」伏線もよくできているが、逆説的な状況がきれいに解きほぐされるのが面白い。
「鍵の抜ける道」設定があまりに複雑すぎてちょっといただけない。プロットの捻りはいいと思う。
「乳児の告発」複雑なプロットの解きほぐし方が上手い。しかしそれ以上に後味の悪さが印象に残る。
「鍵の戻る道」ちょっとキャラクターの設定に無理があるような……。
「念力密室Ｆ」番外編。“予知夢”の内容や能解さんの態度が気になるが……完結はまだまだ先だそうで。
　超能力が出てくるミステリ、そして「ホワイ」を中心に据えた短編集ということでなかなか珍しく、面白かった。★★★★☆