ジョン・ディクスン・カー『震えない男』(ハヤカワ・ミステリ)

震えない男 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ525)

震えない男 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ525)

 準密室とでもいえる状況での銃の発射やシャンデリアの落下など、事件の不可能、不可思議さは申し分ない面白さ。解決で明かされるトリックもなるほどと唸らされるものだが、それ以上によくできていたのは、トリックが明かされてからも事件が二転三転するところだろう。このあたりの上手さはさすがカー。
 欠点を挙げるならば「幽霊屋敷」という割に怖さがまったくなかったところか。しかしなかなか面白い作品。★★★★☆