アガサ・クリスティー『カリブ海の秘密』

 ちょっと探偵らしさを見せたのが意外

カリブ海の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

カリブ海の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

あらすじ

 療養のため西インド諸島を訪れたマープル。一週間は何事もなく穏やかに過ぎていった。そんな時、マープルを相手に懐古談をしていたパルグレイヴ少佐の顔が強張った……彼はちょうど自分の持っているある殺人犯の写真を見せようとしていたところだった。
 次の日、少佐が死体となって発見される……

感想

 今回はカリブ海でのバカンス中に事件が起きる。舞台が変わっても、ちょこちょこと動き回り、積極的におしゃべりを展開するマープルは健在。
 だが、この作品ではやや探偵らしい一面も現れている*1。ラフィール氏の助けを借りながら推理を進めていく場面などは名探偵らしさが漂っていて、ちょっと意外に感じた。その一方でミス・プレスコットとの会話ではこれまで通りの「おしゃべりなおばあさん」の一面が現れていたりして、なんだかマープルが二人いるかのような錯覚を持つこともあった。
 肝心の事件の方だがそこそこ意外ではあったし、そこそこ伏線も張ってあるのだが、どっちもそこそこなんだよなあ。どうも評価しずらい★★★☆☆

*1:あたりまえのようだが、マープルでは珍しい